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よく「『しかたがない』はどのように英語で言ったら良いのでしょうか?」という質問を頂きます。
これはいろいろな言い方があるので、日本語対英語で一対一の言い方はありません。
そのときの状況で言い表すことになります。
たとえば、「他に選択肢がない」「それしかない」という状況下では、no choiceがよく使われます。
つまり、「選択の余地がない」と言う場合です。
どちらかというとネガティブなことを表現したいときに使います。
「彼はやむなくフリーターになるしかなかった。」
He had no choice but to become a part-time worker.
「私は、両親に頼るしか手がない。」
I have no choice but to depend on my parents.
depend on~:「~に頼る」
また、「どうしようもない」「しょうがない」「そうせずにはいられない」と言いたいときは、
I can’t help を使うと良いです。直訳すると、「助けることができない」です。
「どうにもしかたがない。」
I can’t help it.
「我慢できない。」
I can’t help myself.
「笑わずにはいられない」
I can’t help laughing.
「何の役にも立たない」「してもしょうがない」と言いたいときは、It’s no goodを使います。
つまり、「それは良くない」です。
「そんなことをしても何の役にも立たない。」
It’s no good to do such a thing.
「悩んでもしかたがない。」
It’s no good worrying.
「覆水盆に返らず」
It’s no good (use) crying over spilt milk.
(こぼれたミルクのことを嘆いても無駄だ。)
まだまだいろいろな言い方が考えられます。
日本語では「しかたがない」という一つの言い方なのに、
英語ではさまざまな言い方をするのはなぜでしょう?
その理由は、次のように考えられないでしょうか。
日本人は「しかたがない」ということで、具体的な内容を直接言うことを避けてしまいます。
これは、その言葉の含んでいる意味合いをその時々の状況下で理解し合う、という日本人の奥ゆかしさの表れです。
ところが、これを英語にするときは、具体的にどのような内容なのか、を示さなければなりません。
つまり、no choice「他に選択の余地がない」なのか、I can’t help「そうせずにはいられない」なのか
、あるいはIt’s no good「何の役にも立たない」のかを相手に伝えなければなりません。
ここにも、日本語と英語の間には深い隔たりがありそうですね。
私たち日本人が英語を話すときは、そのあたりのスイッチを切り替えて話す必要がありそうです。