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「使役動詞がわからないです。」という質問を度々うけます。
使役動詞はいくつか種類があり、どうしても難しい印象を受けてしまうようです。
使役動詞の文章は「~させる」と訳されるのが一般的です。
では、
「スーザンはライアンにテーブルを拭かせる」
という文章を使役動詞を使って、いくつか見てみましょう。
動詞以外はすべて同じ単語を使っていますが、
動詞の「使役レベル」によって、意味合いが異なってきます。
make/have/get/let を用いた使役の表現によって、
スーザンとライアンの関係や状況背景がみえてきます。
1.使役動詞「S make O V」
OはVをしたくない。
もしくはOは自然にVしないのに、Sが原因でVする時、 に使われます。
この場合、【ライアンはテーブル拭きをしたくないのに、
スーザン(母)に嫌々やらされている。】という状況かもしれません。
“He made me do it over from the beginning.”
「彼は私にもう一度やらせた。」(私はしたくない)
“The movie made me cry.”
「その映画で泣いた。」(映画を観なければ泣くことはなかった)
2.使役動詞「S have O V」
SとOの関係上、OがVをして当然、もしくは自然な立場にいる場合、によく使われます。
この場合、【スーザンは上司、ライアンは部下で
毎朝テーブルを日課として拭いている】のかもしれません。
”The doctor had the patient stay in bed for another two days.”
「医者が患者にあと2日ベッドで安静にさせた」
(医者が患者を安静にさせるのは自然な立場)
“My boss always has the driver open the door for him.
「私の上司はいつも運転手にドアをあけさせる」
(運転手がドアを開けるのは上司からみて当然の立場)
3.「S get O to V」
※getは文法上使役動詞ではないのですが、意味上使役として使われる為、一緒に紹介します。
他と違い動詞の前にtoがつくので注意しましょう。
SがOにVしてほしい、Oが納得した上でVする場合、
haveよりもカジュアルな表現によく使われます。
この場合、【スーザン(母)はライアン(子)に
食事前にテーブルを拭く習慣をつけさせ様としている】のかもしれません。
“I tried to get my father to stop smoking.
「父に煙草をやめさせようとした」
(自ら吸わない様にしてほしい)
“She got his son to get to take a bath after two hours of arguing.
「2時間の口論の末、息子を風呂に入らせることができた」
(風呂嫌いな息子を説得した)
4.使役動詞「S let O V」
OがVしたい場合、SがOにVさせてあげる、というニュアンス。
この場合、【ライアンはテーブルを拭きたがっているので、
スーザンがやらせてあげる】というニュアンスになります。
“My parents let me have a dog.”
「両親は私に犬を飼わせてくれた」
(私は犬を飼いたかった)
“My son doesn’t let me sleep.”
「息子は私を寝かせてくれない」
(私は寝たい)
使役動詞の使い方、まとめクイズ
状況を読んで、make/have/get ~to/let を空欄に入れて確認してみましょう。
1.状況:妹の新車を運転してみたいと伝えたところ、昨日試乗させてくれた。
文章:妹は私に車の運転をさせてくれた。
英文:My sister ( )me drive her car yesterday.
ヒント:私は運転したくて妹にさせてもらった。
2.状況:宿題をしたくないのに、いつも母に言われてしぶしぶやっている。
文章:母は私に宿題をやらせる。
英文:My mom ( )me do my homework.
ヒント:私は宿題をしたくない。
3.状況:教師が生徒に宿題を出すか出さないかについて。
文章:私の国では教師は生徒にたくさん宿題を課します。
英文:In my country, teachers ( ) students do a lot of homework.
ヒント:教師が生徒に宿題を出すのは立場上当然。
4.状況:勉強嫌いな子供を持つ親が、どうやったら自ら宿題に取り掛かるか質問している。
文章:どうしたら息子に宿題をさせることができますか?
英文:How can I ( )my son to do his homework?
ヒント:息子に宿題をやってほしい。to があることにも注目。
答え:1. let, 2.makes, 3. have, 4. get
これまで何気なく「~させる」と訳して読んでいた文章も、
「なぜここではhaveなのか?」と疑問をもって学習を進めると定着や理解につながります。
登場人物と相手の立場・状況設定などを考えながら
イメージして読んでみましょう。
「自分が伝える側の時に的確な言葉を選んでメッセージを伝えたい」というのは
スピーキング・ライティングにおける最終的な目標ですが、
まずは話し手・書き手の言わんとすることを、より正確に読み取る練習からはじめましょう。
たくさんインプットした上でアウトプットができるようになります。
Susan has Ryan wipe the table.
Susan gets Ryan to wipe the table.
Susan lets Ryan wipe the table.