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話の流れで、何かに対して答えなければならないとき、
私たち日本人には強い味方があります。
それは、「考えておきます」「またそのうちに」「また連絡します」など……。
これは、即答をかわすためのとても便利な言い方ですね。
しかも、相手の気持ちを思いやっての表現ではないでしょうか。
では、この「考えておきます」を英語にしてみます。
I’ll think about it.
となりますね。
あるビジネスマンが海外の顧客から1通のメールをもらいました。
内容は、あるプロジェクトの1部を担当してもらえないかどうかというものでした。
そのメールをもらったビジネスマンは、
今決めなくても良い内容だと判断し、
” I’ll think about it.”
と、ひとまずメールを送りました。
そして、そのメールから1カ月が経過しました。
再度その海外の顧客からメールがありました。
例の件はどうなったのか、という内容でした。
ひとまず” I’ll think about it.” と返信したビジネスマンは、
彼の頭の中ではそのことはすでに処理したものとなっていました。
彼としては、顧客の方も単なる提案として聞いてきた内容であり、
特に大きな問題ではないのだろうと考えてしまったのです。
この催促のメールをもらった彼は慌ててしまい、
次のようなメールを送りました。
“We will hold a meeting about that.
So please wait until next week.”
「そのことについての会議を開きます。
なので来週まで待ってください。」
そのメールをもらった顧客は、以下のように返信して来たそうです。
「もう、あなたの会社との取引はやめる」と。
顧客の方は、「考えておきます」のメールをもらってから
1カ月も経ったのにまだ何も進展していない相手を
信頼できなくなってしまったのでしょう。
このように、日本人が答えを後回しにしたり、
柔らかく断る手法は誤解を招くこともあります。
相手に誘われたときに、あまり興味がないとき
私たちは、「また今度ね」と言って体よく断ります。
「今日はだめ」とはっきり言うことはあまりないですね。
でも、ビジネスの世界では、相手も自分と同じ感覚でその言葉をとらえているとは限りません。
文化の違いでしょうか。