国、文化や習慣によって人間関係の距離の取り方は様々です。
例えば、アメリカ人は初対面からファーストネームで呼び、言葉づかいもカジュアルなのに対して、イギリス人はもう少し規律を重んじた対人関係が求められます。
アジア諸国だけでも様々で、そのうえ、植民地時代の影響や、欧米文化の影響度合いによって、人付き合いにおける距離感の取り方は変わってきます。
しかし多様な世界でも、人づきあいの基本は同じであろうと思われます。
ちょっとした気遣いや配慮で、持続可能な人間関係を構築できるのではないでしょうか。
色んな場面で文化や習慣のヒントを得て、こちらの意志や配慮を誤解なく発信することで最善の距離感を模索したいものです。
そんな時に知っておきたい英語の使い方や表現を、実際のビジネスシーンを想定しながら、考えてみます。
電子メールのやりとり
実際に海外のお客様やカウンターパートと対面するまで、何度か電子メールのやり取りをすることが多いのではないのでしょうか。
実はこのメールにはたくさんのヒントが隠れています。
初めてのアプローチメールは、「Dear Mr./Ms. Nakamura, 」からはじめ、「Sincerely, 」や「Kind regards, 」等で終わることが多いでしょう。
フルネームが添えられるとよりフォーマルになりますが、その後ファーストネームになると、少し距離を縮めたい意思が伝わってきます。
ファーストネームで呼んでいいというサインでもあります。
「Regards, Mike」とあるメールに返信する際は、なるべく「Dear Mike,」と返し、自身もファーストネームで締めくくります。
このサインを読みとらず「Dear Mr. Jones, 」とラストネームに固執すると、距離を縮めるチャンスを見逃してしまいます。
さらに「Dear」ではなく「Hello」で始まるメールを受信したら、こちらも同じような軽快さで返事することも試みてみましょう。
初対面と初印象
さあ、メールのやり取りも一通り終え、実際に空港に迎えに行くことになりました。
初めての顔合わせは、相手の様子を見ながら交流を図るのは日本人同士でも一緒ですね。
ここではこちら側が与える印象に注目しましょう。
「Nice to meet you.(はじめまして、お会いできて嬉しいです)」
等の一連の初対面の挨拶の後は、
「How was your flight?(フライトはいかがでしたか)」
「Is this your first time in Japan?(日本は初めてですか)」
等当たり障りのない雑談を入れて相手の緊張をほぐしてあげるといいかもしれません。
また日本人は無表情であまり心の内がわからないという印象があるようなので、できるだけその場で答えられることは「Yes」「No」ではっきり答えてあげましょう。
その場で言えないことは
「I’ll get back to you on that.(その件については、後ほど回答します)」や
「I’ll have to check on that.(その件については確認しなければなりません)」
と伝えます。言えることと言えないことを明確にし、組織人としての責任から来る回答とわかれば、個人的に話がしにくい、もしくは信頼できないというイメージは払拭できるでしょう。
おもてなしのさじ加減
一方で日本滞在中のスケジュールですが、我々はおもてなしの精神から晩ご飯や昼食にご招待することが半ば当たり前のようですが、もしビジネス上問題がなく、旅慣れた相手であれば、接待がない時間や日にちを空けてあげる配慮をすることがあってもいいかもしれません。
「Would you like to have some time to yourself/yourselves?(少しお一人/皆様だけで過ごされますか)」
「Do you want us to accompany you?(我々がご一緒した方がいいですか)」
等で様子伺いができます。
その際、
「In case of emergency, you can call me at my cell.(何かあれば、私の携帯に連絡ください)」
等と連絡先を教えてあげておくと親切かもしれません。
外国人とのビジネスにおける、距離感の取り方:まとめ
ビジネスを円滑に進めるのにちょっとした気遣いはとても大切です。
外国の方が相手だと少し構えてしまうかもしれませんが、緊張するのはお互い様。
相手が出すサインに注意を払い、文化や習慣を超えて伝わる気遣いを実践してみましょう。少しの注意と配慮があれば、バランスの取れた距離感がつかめるはずです。